カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?意味と向上の進め方まで解説

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  • CXという言葉は聞くが、意味を正確に説明できない

  • UXやCSと何が違うのか整理できていない
  • CXを上げたいが、何から手をつければいいか分からない

「カスタマーエクスペリエンス(CX)」という言葉を、最近よく見かけるようになりました。日本語では顧客体験と訳され、価格や機能だけでは差がつきにくい今、企業が選ばれる決め手として注目されています。

とはいえ、UXやCSとの違いがあいまいだったり、何から始めればいいか分からなかったりする方も多いはずです。この記事では、CXの意味から向上の進め方、企業の成功事例までを一気に整理します。読み終えるころには、自社で取り組むべきことが見えてきます。

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「忙しくて全部は読むのは大変…」

という方に向けて、最初にこの記事の要点をまとめました。気になる箇所がございましたら本文で詳しく解説していますので、是非お読みください!

  • この記事の要点

CXとは購入前から購入後までのあらゆる接点で顧客が感じる体験全体のこと。価格や機能で差がつきにくい今、選ばれる企業の条件になっている

UXは個別の製品体験、CSは満足という結果を指すのに対し、CXはそれらを包む「プロセス全体」。測る指標にはNPS・CSAT・CESがある

CX向上は現状の可視化→顧客分析→課題特定→施策→効果測定の5ステップで進める。ANAや無印良品など、顧客の声を起点に成果を出した事例もある

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

カスタマーエクスペリエンス(CX)は、日本語で「顧客体験」と訳される言葉です。商品を知る前から購入後まで、顧客が企業と関わるすべての場面が対象になります。まずは意味と、CXを左右する「形にならない価値」、そして混同されやすいUX・CS・DXとの違いから押さえていきましょう。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の意味

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、顧客が企業やブランドと接するすべての過程で感じる体験の総体です。広告で商品を知る段階から、比較・検討、購入、そして購入後のサポートや再利用まで、あらゆる接点(タッチポイント)が含まれます。

ポイントは、CXが商品やサービスそのものの良し悪しだけを指すのではないことです。たとえばカフェであれば、コーヒーの味だけでなく、店内の居心地、注文のスムーズさ、店員の対応までを含めて、顧客は「良い体験だった」と感じます。この体験全体の質を高める取り組みを「CX向上」と呼びます。

CXを左右する「形にならない価値」

CXを考えるうえで欠かせないのが、「形にならない価値」という視点です。価格や性能のような目に見える価値だけでなく、「対応が親切で安心した」「サイトが使いやすくて快適だった」といった感情や印象が、顧客の判断を大きく動かします。

たとえば、どれだけ高品質な商品でも、問い合わせの返答が遅かったり、態度が冷たかったりすれば、顧客の満足度は一気に下がります。逆に、商品そのものは平凡でも、心地よい接客や丁寧なサポートがあれば、また利用したいという気持ちが生まれます。この心理的な価値の積み重ねが、ブランドへの信頼につながります。

CXとUX・CS・DXの違い

CXは、UX・CS・DXと混同されがちです。それぞれの違いを整理すると、次のようになります。

用語

指すもの

意味の中心

CXとの関係

CX

顧客との全接点での体験

体験のプロセス全体

UX

製品・サービスの使い勝手

使ったときの体験

CXの一部

CS

顧客満足度

満足という「結果」

CXの結果を測る指標

DX

デジタル技術による変革

変革の「手段」

CX向上を支える手段

UX(ユーザーエクスペリエンス)は、特定の製品やWebサイトを使ったときの体験を指します。UXはCXの一部で、その積み重ねの先にCXがあると考えるとわかりやすいです。

CS(顧客満足度)は、商品や対応に対する「満足という結果」を数値で測るものです。一方CXは、満足のさらに先にある「ファンになるか」「愛着を持てるか」までを含みます。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術で業務や体験を変える「手段」であり、CX向上を後押しする役割を担います。

CXが重要視される背景と向上のメリット

なぜ今、これほどCXが注目されているのでしょうか。背景には市場と顧客の変化があります。あわせて、CXを高めると企業がどんな成果を得られるのかも見ていきます。

CXが注目される3つの背景

CXが重視されるようになった背景は、大きく3つです。

1つ目はコモディティ化です。商品やサービスの機能・価格での差別化が難しくなり、「体験」で選ばれる時代になりました。2つ目はSNS・口コミの影響力です。良い体験も悪い体験も、顧客自身がリアルタイムで世界中に発信します。たった一つの不快な体験が、ブランドの評判を大きく左右することもあります。3つ目はデジタル化の進展です。CRMやデータ分析の普及で、顧客一人ひとりの体験を把握し、改善できる環境が整いました。

メリット1:顧客離れを防ぎLTVを高められる

CXを高める最大のメリットは、顧客離れを防げることです。PwCの調査では、たとえ気に入っているブランドでも、たった1回の不快な体験で32%の顧客が離れると報告されています。

出典:PwC https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/future-of-customer-experience.html

一度離れた顧客を取り戻すのは簡単ではありません。逆に、良い体験で関係を続けられれば、1人の顧客が生涯にもたらす利益=LTV(顧客生涯価値)を伸ばせます。同じ調査では、優れた体験を提供する企業に対して最大16%多く支払ってもよいと考える顧客がいることもわかっています。

メリット2:リピーター・ファンを獲得できる

良い体験は「またここで買いたい」という気持ちを生みます。スムーズに購入できた、サポートが早かった、自分に合った提案をしてくれた。こうした体験が積み重なると、顧客は継続して利用するリピーターになります。

リピーターは、新規顧客向けの大きな販促をしなくても購入を続けてくれるため、売上の安定した土台になります。さらに満足度が高まると、単なるリピーターを超えて、ブランドを応援してくれるファンへと育っていきます。

メリット3:ブランドイメージが向上する

顧客が心地よい体験を重ねると、その企業やブランドへの好感と信頼が高まります。信頼が積み上がれば、最初に買った商品だけでなく、同じブランドの別の商品にも関心を持ってもらいやすくなります。

その結果、関連商品の購入(クロスセル)や上位商品への移行(アップセル)も期待できます。ブランド全体の価値が底上げされることが、競合との差別化につながります。

メリット4:口コミ(UGC)で新規顧客につながる

優れたCXは、顧客が自発的に発信する口コミ(UGC)を増やします。SNSやレビューサイトでの「おすすめしたい」という声は、企業の広告以上に信頼されやすい情報です。

良い口コミが広がれば、広告費をかけずに新規顧客の獲得につながります。実際の利用者の声は説得力が強く、購入を迷っている人の背中を押す力を持っています。

CXを向上させる5つのステップ

CX向上は、思いつきの施策では成果が出にくいものです。現状の把握から改善の継続まで、順を追って進めることが近道になります。ここでは実践しやすい5つのステップを紹介します。

手順1:現状の顧客体験を可視化する

最初に、自社が今どんな顧客体験を提供しているかを整理します。顧客との接点やサービスの流れを書き出し、体験の全体像を見えるようにします。

このとき、顧客アンケートや利用履歴などのデータを使うと効果的です。「どこで顧客がつまずいているか」「満足度が高い・低い場面はどこか」という視点で整理すると、改善の出発点が見つかります。

手順2:顧客を分析する(ペルソナ・カスタマージャーニーマップ)

次に、顧客理解を深めます。年齢や職業などの属性、購買履歴、接点ごとの行動を分析し、典型的な顧客像=ペルソナを具体的に描きます。

そのうえで、顧客が商品を知り、購入し、利用するまでの流れをカスタマージャーニーマップとして時系列で図にします。各段階で顧客がどう感じ、どこで不安やストレスを抱くかを見える化すると、手を打つべきポイントがはっきりします。

手順3:課題(ボトルネック)を特定する

ジャーニーマップと実際の対応を照らし合わせ、体験を妨げている課題(ボトルネック)を見つけます。問い合わせ対応の遅さ、購入までの導線のわかりにくさ、サポート品質のばらつきなどが典型例です。

顧客の声(VOC)や行動ログを分析すると、どのタイミングで離脱や不満が起きているかが明らかになります。課題を絞り込めば、優先度の高い施策から着手できます。

手順4:施策を企画・実行する

特定した課題に対して、具体的な施策を企画し実行します。「購入フローが複雑で離脱が多い」なら「入力項目を減らす」、「疑問が解決できず離脱する」なら「FAQやチャットでの自己解決を整える」といった具合です。

施策は、短期間で試せる小さな単位から始めると、検証と改善のサイクルを回しやすくなります。よくある質問への対応を仕組み化したい場合は、FAQの設計から見直すのも有効です。

▼FAQの作り方を基礎から知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください

手順5:効果を測定し改善する(NPS・CSAT・CES)

施策を実行したら、効果を測定して改善を続けます。CXの測定には、代表的な3つの指標があります。

  • NPS(推奨度):そのブランドを友人や家族に勧めたいかを数値化する指標
  • CSAT(顧客満足度):サービスや体験への満足度を直接たずねる指標
  • CES(顧客努力指標):目的を達成するのに「どれだけ手間がかからなかったか」を測る指標

これらの数値と、アンケートの自由記述などの定性的な声を組み合わせて検証します。一度で完璧を目指さず、計画・実行・評価・改善のサイクルを回しながら、少しずつ体験の質を高めていきましょう。

CX向上に取り組む企業の成功事例

理屈だけではイメージしにくいCXも、実例を見ると取り組みの方向性がつかめます。ここでは、業種の異なる3社の事例を紹介します。いずれも顧客の声やデータを起点に体験を磨いている点が共通しています。

事例1:データ活用で一人ひとりに最適な案内を届ける|ANA

全日本空輸(ANA)は、部門ごとに分散していた顧客情報や運航情報を一元化する「CX基盤」を構築しました。さらに2019年からは、他者への推奨度を測るNPSを活用して顧客体験を数値で追う仕組みを整えています。

搭乗手続きや運航の変化をリアルタイムに検知し、一人ひとりに合わせた案内を届けることで、デジタルとリアルの両面から体験価値の向上に取り組んでいます。

出典:ANA https://www.ana.co.jp/group/csr/customer_satisfaction/

事例2:顧客の声を起点に改善を続ける|ソニー損保

ソニー損保は、顧客から寄せられた意見・要望と、それに対する改善内容を公開する「コエキク改善レポート」を続けています。FAQの新設や申込画面の表現修正など、顧客の声を起点にした改善を地道に積み重ねています。

「声を聴く」姿勢を社外に見える形で示すことで、わかりやすさと使いやすさを高め、顧客との信頼関係を強めています。

出典:ソニー損保 https://from.sonysonpo.co.jp/improvement/

事例3:顧客と一緒に商品をつくる|無印良品

無印良品は、顧客と一緒に商品をつくるオンラインの場「IDEA PARK」を運営しています。寄せられたリクエストは多数にのぼり、その声をもとに数多くの商品が生まれ、見直されてきました。

顧客を開発のパートナーと捉える姿勢が、「自分の声が形になった」という満足につながり、ファンとの深い関係を築いています。

出典:無印良品 IDEA PARK https://idea.muji.net/

CX向上を後押しする方法・ツール

CXは概念だけでは動きません。日々の顧客接点を具体的に改善する打ち手が必要です。ここでは、多くの企業が取り組んでいる代表的な方法を紹介します。

顧客接点をデジタル化し体験の一貫性をつくる

現代の顧客は、Webサイト・SNS・店舗・電話など、複数のチャネルを自由に行き来します。どのチャネルでも一貫した対応ができていないと、体験が分断され、満足度が下がります。

顧客データを統合し、どの接点でも同じ情報・同じ品質で対応できる状態をつくることが、一貫した体験の土台になります。

顧客が自分で解決できる仕組みを整える

顧客にとって最も緊急性が高いのは、「疑問が生まれた瞬間」です。問い合わせ窓口の有人対応に加えて、FAQやチャットボットのような自己解決の仕組みを整えると、顧客は待たされずに疑問を解消できます。

自動で解決できる質問はセルフサービスに任せ、複雑な相談には人が丁寧に対応する。この使い分けが、顧客の手間(CES)を減らし、良質な体験につながります。

▼チャットボットを使った顧客対応の改善方法は、こちらの記事で詳しく解説しています

問い合わせ対応のスピードと質を高める

問い合わせへの対応スピードと正確さは、CXに直結します。対応が遅れたり、たらい回しになったりすると、それだけで顧客は離れてしまいます。

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カスタマーエクスペリエンス(CX)についてよくある質問

Q.

CXとCSは何が違いますか?

A.

CS(顧客満足度)は「満足したかどうか」という結果を指す指標です。一方CXは、購入前から購入後までのプロセス全体で感じる体験を指します。CXはCSの満足のさらに先にある、愛着やファン化までを含む広い概念です。

Q.

CX向上は何から始めればいいですか?

A.

まずは現状の顧客体験を可視化し、顧客がどこでつまずいているかを把握することから始めます。いきなり大きな施策を打つより、問い合わせ対応の改善など、顧客の困りごとに直結する小さな一歩から取り組むと成果につながりやすいです。

Q.

CXは何で測ればいいですか?

A.

代表的な指標はNPS(推奨度)、CSAT(顧客満足度)、CES(顧客努力指標)の3つです。数値だけでなく、アンケートの自由記述や問い合わせ履歴などの声もあわせて見ると、改善のヒントが得られます。

まとめ

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは、購入前から購入後まで、顧客が企業と接するあらゆる場面で感じる体験全体のことです。価格や機能で差がつきにくい今、CXは選ばれ続ける企業の条件になっています。

向上のためには、現状の可視化から効果測定まで5つのステップを踏み、NPSやCSATなどの指標で検証しながら改善を続けることが大切です。ANAやソニー損保、無印良品の事例が示すように、出発点はいつも「顧客の声に耳を傾けること」にあります。

その第一歩として取り組みやすいのが、問い合わせ対応の改善です。顧客の疑問にすぐ応えられる環境づくりから、自社のCX向上を始めてみませんか。

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志村 知里
志村 知里
電通デジタルでWeb広告運用を経験後、株式会社ベーシックへ入社。広告運用の知見を軸に、サービスサイト改善、SEOコンテンツ企画、新規集客戦略の設計まで幅広く担当。ユーザー獲得からCV改善まで、一貫したデジタルマーケティング施策に取り組んでいる。

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